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大人になるって…大人になっても…
 
 私はいろいろな活動をしてるんですが、その中でも音楽活動が一番長く、音楽にはずいぶんいろんなことを教えてもらったりしています。そしてその音楽活動で最近一番楽しみになっているのが子供たちとの活動です。

 数年前から縁あって、学校や学童保育施設などで子供たちにふれあう場ができ、私も身を持って体験している音楽の素晴らしさを子供たちに教えられたら、なんて思ったのがきっかけでした。はじめてお邪魔したのは小学校で、いっしょにセッションしたのは1年生の子供たち。みんな「これから何が始まるんだろう!」と瞳がきらきら。「今日の音楽には問題も答えもありません。あなたがそう思ったらそれが正解!」という今日のテーマを彼らに告げ、私はパートナーと二人で持っていったアコースティックギターを使い、まずはじめに歌を歌ったり音を使ったクイズをしたり。みんなとの一体感を作りました。
  さて、このイベントのメインは、私が作ったお話の主人公になってその気持ちを音で表現してもらうというもの。みんなには、授業で使っている鍵盤ハーモニカを用意してもらいました。すでに、学校で音階やら拍子やらを知識として教わっている彼らは、はじめは少し戸惑い気味。でも「今日のテーマを思い出して」と声をかけると、みんなどんどん音を出し始めました。そしてみるみる生き生きとしていったのでした。私はその姿を見てちょっと反省しました。「音楽の素晴らしさを子供たちに教えられたらなんて思ってたけど、もうすでに彼らは知ってるんだなぁ。私ちょっと偉そうだったかも。」

 そう、彼ら子供たちは既にいろんなこと、少なくとも私が本当に大切なことだと思っていることを知っています。だけど、成長していく段階でその多くを心のずっと奥のほうへしまってしまう。大人になればなるほど、どんどん奥へ追いやっていく。大半の人はそうやって、大人という生き物になっていくんでしょう。その方が現代社会という荒波の中では良い泳ぎ方とされ、また生きやすいんだと思います。でも、人は大人になってもその大切なものたちをなくしたわけではないと思います。心のずっと奥にしまっているだけ。だからちょっとしたきっかけがあれば、絶対に思い出すことが出来るはずです。「今日のテーマを思い出して」のひとことでどんどん音を出し始めた子供たちを見て、私はそう感じました。
  ちなみに、どのセッションでも感激するのは、先生やその場に居合わせた大人たち。もちろん子供たちはただただ楽しそうに音を出しています。

あなたの大切なものたちは、心のどれくらい深いところに眠っていますか?
1999/10/22
 
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