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さぁ、皆さんご一緒に光合成を
 
 昨日、私が住んいでる街はとってもいいお天気でした。午前中は室内にいたので「いい天気だな。」としか思わなかったんですが、お昼ご飯を食べようと外に出てみるとなんて日向のあたたかいこと。風はまだ冬の匂いがしていましたが、おひさまの光は春の匂いと心地よい温かさを感じさせてくれました。

 私のいくつかある夢の中に"光合成をしたい!"というのがありまして、こんな日には日向に出て両手をいっぱいに広げて、おひさまの光を浴びてしまいます。当然の事ながら植物たちとちがい、葉緑素を持たない私。その光をでんぷんに変えて栄養にする事などできないので、光合成はできません。でも、なんだか幸せな気分になって心が満腹になるような感じがするんです。おそらくこんな気持ちは私だけが感じるものではなく、誰もが感じることではないでしょうか。

 あれは、あるお寺の長い長い階段の途中に腰を下ろし、そこに住み着いている顔なじみの野良猫たち数匹と、穏やかな午後にひなたぼっこをしていたときのことでした。猫たちは私が危害を加えない人間だと知っているので、私の膝やら腕やらに乗ってきて、すぐにうとうとし始めました。おひさまはぽかぽかとあたたかく、耳に入ってくるのは木々がそよそよと風に揺れる音だけ。あたりを見回すと私たちだけでなく、草や木や花、階段の石、木にとまっているカラス・・・みんなおひさまの光を浴びてじっとしています。それはもう幸福に満ちた時間でした。私は思いました。「いろんな国で心から泣いている子供たちも、ここで一緒にひなたぼっこができたらいいのに。」私はこの長い長い階段にたくさんの子供たちが腰を下ろし、逃れられなかった不安から開放されてみんな心から笑ってひなたぼっこをする姿を想像しました。でも、彼らはここにはいません。大人が身勝手に作り出す厳しい環境の中で、子供たちは何の不安もなくひなたぼっこをする事ができているだろうか・・・悲しくなりました。誰の国にもおひさまはいるのに。

 今日も私が住む街はいいお天気でした。そして、おひさまの光を浴びながら「ごちそうさまでした。皆ありがとう。」と心の中でつぶやきました。
2000/03/10
 
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