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散らばる星たち
 
 はじめて友人に誘われてからこれで3回目。今年もラオスのお正月をお祝いするパーティー“サバイディーピーマイ パティー”に行ってきました。ラオスのお正月は4月。この日はあいにくの雨でしたが出席者は大勢で、年々その数は増えているような気がします。

 このパーティーは「ASPBラオスの子どもに絵本を送る会」という団体が主催しています。当時、子どもが読むような本がまったくと言っていいほどなかったラオスに「日本から絵本を送ろう!」と20年前に設立され、現在では日本から絵本を送るだけでなく、地元で絵本作家を育てたり、また自己表現の場を提供したりと、さまざまな活動を展開しているそうです。毎年パーティーに伺うたびに、多くの人々からの支援と多くのボランティアで参加する人々の力と前向きに前進していくスタッフの方々の力がこの活動を支えていて、それはゆっくりではあるけれど確実に実っているんだな、と感じます。

 この団体の活動は、ラオス出身のひとりの女性から始まりました。彼女は、日本人の男性と結婚し日本で子どもを育てる中で絵本の読み聞かせをしたとき、本の持つ素晴らしさや大切を実感したそうです。ラオス人民民主共和国は中国、ミャンマー、タイ、カンボジア、ベトナムに囲まれた国で、内戦が続いたり、またベトナム戦争の頃は、物資の輸送ルートとなっていたこともあってラオスにも大きな被害があり、今でもたくさんの地雷が残っています。そうした経緯の中、国の経済や教育が大きく立ち遅れている祖国のためにも、これから大人になる子どもたちを何とかしなければ、と彼女はこの活動をはじめたそうです。今ではたくさんの人たちが関わるこの活動も、はじまりはひとりの人にともった小さな光だったんですね。

 世界には、規模も主旨も方法もさまざまですが、こうした善意の活動がたくさん存在しています。みんなバラバラに、まるで夜空に散らばる星たちのように。私はこの日ずっと、散らばった星たちがつながっていくことについて考えていました。物理的に全ての人々が関わることなんて、まず不可能です。だけど、遠く離れた場所にもこういう人々がたくさんいるんだと思ったら、なんだかすごくうれしくなってきたんです。それぞれの場所で、それぞれの役割を持ち、それぞれが光を放っている。世界のいたる所にはそんな星たちがいて、私たちはその星を星座のようにつなげて形づけられる意識をもっています。そうしてつながった意識のネットワークは、私たちが住んでいるこの星をすっぽりと包み込むことができます。そんな光に地球ごと自分もすっぽり包まれるんだもの、ものすごく心地いいですよねー。

 世の中には、積極的に善意の活動をしてる人たちばかりがいるわけじゃありません。私も「がんばって何かボランティア活動しなきゃ!」とも思っていません。だって私は私にあった無理のないスタイルで、ある日私にポッとともった灯りを輝かせればいいと思うから。私が毎年このパーティーに参加させてもらっているのも、それが私のスタイルだと感じるからです。・・・あと、ここで毎年いただくラオス料理がとーってもおいしいからっていうのもあるんだけど。
2002/4/22
 
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