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きらきらと
 
 この季節になると街のあちこちでイルミネーションを見ることが多くなりました。冷えて透き通った夜の空間を彩るイルミネーションは、人の中にあるなんともせつない部分をくすぐります。電気エネルギーの無駄だとか、街の活性化や集客力アップを狙った主催者の思う壷だとか、まあいろんな意見もありますが、私はけっこうイルミネーションが好き。だって“きれいだなぁ”と思うからです。

 私が気に入っているイルミネーションの一つが「東京ミレナリオ」。1999年から始まったこのイベントは毎年12月24日から年末にかけて行われています。丸ノ内仲通りを中心に東京駅丸ノ内口から有楽町の方まで続いているなんとも大規模なイルミネーションで、訪れる人も年々増えて今年は200万人は超えるのではという話もあります。幾何学模様をたくさん取り入れた光の作品は、丸ノ内仲通りを彩る光のアーチがメインになっていて、入口に立つとその先は光のトンネル。それはもう圧倒的な美しさです。そして、そのトンネルをゆっくりゆっくりと人の波が流れて行きます。

 私がはじめてこのイルミネーションを見に行った時もすごい人出でした。私は行列とか人込みは好きではないので、ふだんならうんざりしてしまうところ。でも、その日はちょっとちがいました。人の波に乗って光のトンネルを進んでいた時、ふとまわりの人たちに目がいったのです。カップルや家族連れ、友だち同士に会社の同僚...。光を見上げるたくさんの人々の頬や瞳には光が映り、そして皆が微笑んでいる。私はなんとも幸せな気持ちになりました。私にとってこの人たちはぜんぜん知らない人たち。このトンネルを抜けたらたぶんもう会うこともない人たち。だけど今、私を含めここにいる人たちは同じものを見て、そしてそれをただ「美しい」と感じている。言葉なんて交わさないけれど、そこには気持ちのいい意識が一体になっている。
「ああ、なんて幸福なひとときだろう。」
私はそんな感覚を自分の中でしっかりと受け止めて、そしてぎゅっと抱きしめたのでした。

 今年の「東京ミレナリオ」もすごーくきれいでした。デザインも良かったなぁ。一緒に光のトンネルを歩いた人たちは、こないだ来た時よりもずっと増えていました。そして、やっぱり人々の顔は素敵な輝きを放っていました。あ〜、なんとも幸せ。
2002/12/28
 
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