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人の集まる川の流れ
 
 先月に引き続き、今月も京都への出張がありました。仕事もひと段落した次の日、関西に住む友人と貴船の川床へ行くことになりました。貴船は、鴨川の上流で天狗がいるという鞍馬の山のおとなり。川床とは、川に桟敷などをしいて涼をとる方法で、ほとんど料亭やお食事処などが出しています。川の真上で涼みながら、お料理をいただくというちょっと贅沢なお食事タイムなわけですね。鴨川下流の繁華街付近にも高床の川床がありますが、貴船の川床は床下30cmくらいがもう川面。しかも上流なので、水もきれいで流れもワイルドです。

 この時期の京都は、身体が溶けてしまうくらい熱いと聞いてちょっとビビッていたのですが、うれしいことに滞在中はとても涼しく過ごしやすいお天気。この日も朝からお日さまが出ていて、ワクワクしながら貴船に向かいました。川床シーズンということで、貴船は大変な賑わい。私たちは、ぶらぶらと川沿いに川の水が流れる音を聞きながら歩き、友人にしっかり予約を入れてもらっていたお店へ向かいました。私たちの席は桟敷の端っこ。食事をしているすぐ横で、川の流れが小さな岩にぶつかって音をたてています。その音は、私の中心まで響いてすっかり瞑想状態。気がついたらご飯を食べ終わっていました。

 私はどうしても川に足を入れたくて、桟敷の端っこから足を投げ出して水に足をつけました。川の水はとっても冷たくて、しばらくつけていると足は痛いくらい冷えてしまいました。ちょっと先を見ると、となりのお店の川床でも同じように足をつけている人が…。そうよねー。そりゃ衝動にかられるってもんですよ。私たちは自然と繋がっているんですから。

 すっかり涼んで満足した私たちは貴船を出ると、電車・バスを乗り継いで上賀茂まで出ました。そして、そこからはずーっと鴨川沿いにてくてくと散歩。実は私、鴨川の川沿いを歩くのが大好き。そこには犬の散歩をしている人、川で釣りをしている人、フルートの練習をしている人、川に入ってザリガニをとる親子、語らう恋人たち、軽快にランニングする人…。ホントにいろんな人がこの川に集まって、思い思いの時間を過ごしているんです。川という場に自然と集まる人たち。私は、そんな人たちとすれ違うことが、この川のそばにいられることが、川の風に吹かれて歩くことが、大好きです。ここにいるみんな一人一人は気がついていないかもしれないけど、しっかり自然と繋がっている。とてもシンプルで素敵なこと。

 私は普段、東京といういわゆる都会に住んでいます。都会はもう自然が残ってないからとか、コンクリートジャングルだよねなんていわれこともあるけど、見上げればどこまでも繋がる空があります。自然との繋がりは、コンクリートに切られているんじゃない。ほんとはちゃんと繋がっている自分の中の大事な部分をきちんと感じられているかどうかなんだよ。川の風が私にささやきました。
2004/07/16
 
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